長期間携わってきた現場に最後の大物を取付設置したらついに終わりになります。
今回のキッチンバックカウンターの製作は大変頭を悩ませました、、、
2,850×1,750×445の寸法でリビング中央に置かれるため裏面も上面もある物を2Fに搬入し床に固定。さらに引戸右側にあるエアコンの配管と配線、コンセントが左右で5ヶ所、床暖スイッチ、給湯スイッチなどの配線の取り回しを考慮しながら分割や接合方法を考慮すると色々解決しないとならないところが多々あり。
全てを完璧に考えてからだとあまりにも難解すぎて先に進めないので、ある程度製作した所でそれを見ながら出てくる問題を解決して次を製作していきます。
3mの長尺ベニヤを切り間違えられないというプレッシャーと各部分の寸法の積み重ねが大きなズレを生んで寸法が合わなくなる事が無いように最後まで気の抜けない製作でした。
苦労も大変さも製作し終わってしまうとすっかり忘れてしまうけれども、この時色々なことを思考しながら完成までたどり着いた事は消えない感覚(五感)となり、積み重なって地層の様になっていく。
そういうことが職人ということなのだろうと思っています。
意匠・設計:手嶋保建築事務所
框(かまち)のナラ柾目に鏡板の板目というのは、自分の中では何か安堵するような精神が落ち着くような感覚になる。
だからではないが出来上がりの凛とした感覚を想像しながら材料を選択して、どの側から木取っていくと良い木目が現れるのかを計算しながらの製作になる。
昔、空間に憧れ、家具に憧れその道を目指した。今はそれを仕事として日々製作し続けているが、根底にある思いは変わらないでいるのだろう。
変わらなくていいもの、変わっていかなくてはならないモノの間でこれから先も創っていくが、この感覚が共感できるものと信じて日々精進しようと思う。